●アリス・コルトレーン / ワールド・スピリチュアリティ・クラシックス・ワン:ジ・エクスタティック・ミュージック・オブ・アリス・コルトレーン・トゥリヤサンギータナンダ / ウルトラ・ヴァイヴ / JPN / CD / LBCDJ0087 / 4526180416999 / 2,500円+税

CD(4) 

商品レビュー

※国内仕様盤 / 輸入LP盤にのみ収録2曲のダウンロード・コード記載

現在も高い人気を誇るファラオ・サンダースなどに代表されるスピリチュアル・ジャズの原点であるジャズ界の巨人、ジョン・コルトレーンの妻にして自ら奏でるピアノ、ハープを駆使した数々の名作を残すアリス・コルトレーン。

若いクラブ・ミュージック・ファンにはフライング・ロータスの叔母としても知られる彼女の没後10年を迎えた2017年、自らのスピリチュアル・コミュニティ内にのみカセット・テープ・フォーマットで発表していた幻の音源がついにその姿を現す。

デヴィッド・バーン主宰のレーベルが満を持して贈る本作は「World Spirituality Classics、 Volume 1 :The Ecstatic Music of Alice Coltrane Turiyasangitananda」である。
Turiyasangitananda(トゥリヤサンギータナンダ)とは彼女が帰依したインドのグル、サティヤ・サイ・ババの信者として70年台後半に改名した名だが、彼女は1983年に48エーカーの広さを誇るSai Annata Ashramを設立し、そこでプライベートな作品をカセット・テープに吹き込んで身内のみに発表していた。
これらの作品において彼女は、6枚のジョン・コルトレーン作品、そして67年の「AMonastic Trio」から14枚に及ぶリーダー作に至る彼女のオフィシャル・リリースでは聞くことのできないヴォーカルまで披露しており、自らハープを演奏しながらの弾き語りから、24名に及ぶヴォーカル・アンサンブルに至るまで多様なスタイルで自らのスピリチュアリズムを具現化している。

晩年の4半世紀の重要な活動の結実となった一連のカセット・テープの最初のリリースとなったのは1982年の「Turiya Songs」で、続いて発表されたのが「Divine Songs」(1987)、さらに「Infinite Chants」(1990)、「Glorious Chants」(1995)という合計4本が残されており、インドのモードを駆使しながらウーリッツァーなどエレクトリック・ピアノなどを使ったアレンジは、彼女が培ってきたバップやブルースといった西洋音楽の要素と東洋のスピリチュアリズム、そして特にインド音楽とを融合させた唯一無二のものだ。
それこそがただの宗教音楽に止まらない独自の魅力を作り出しているのであり、彼女の音楽は後世のジャズ・ミュージシャンはもとより甥であるフライング・ロータスが主宰するからリリースされているカマシ・ワシントン、そして彼も参加しているケンドリック・ラマーらジャズを飛び越えた数多のアーティストたちに伝播し、そして支持されている。

ジャイルス・ピーターソンのラジオ・ショウ「WorldWide」においてエリカ・バドゥが自らのセットに彼女の楽曲をピックアップしたり、フォーテットがジェイミー・カラムのラジオ・プログラムで披露したスピリチュアル・ジャズ・ミックスでルーティーンに取り入れていることでも分かる通り、その影響はジャンルを超えて現在の音楽の中に息づいていると言えるだろう。
この幻の作品群をまとめるにあたり、西洋の父と同じくサックス奏者となった息子のラヴィ・コルトレーン、オラン・コルトレーンのサポートを得たがオリジナル・マスターからリマスタリングを施している。
手がけるのはオーネット・コールマン、サン・ラ、そして御大ジョン・コルトレーンを手がけてきたレジェンド・エンジニアであるベイカー・ビグスリー。
さらにライナー・ノーツにはジョン・コルトレーン「Offering: Live at Temple University」のライナーで最優秀アルバム・ノーツ賞を受賞したアシュリー・カーンが手がけ、加えて「dublab」のマーク“フロスティ”マクニールによる関係者へのインタビューが付属するという完璧な布陣で、今まで語られてこなかったアリス・コルトレーンの晩年の貴重な記録として音はもちろんのこと、資料的な価値としても非常に意義のある作品となっている。

没後10年に際しアメリカ、ヨーロッパ、そして南アフリカでも数多くのイヴェントが企画されており、リリースのタイミングとしても完璧 !
「ヴォリューム1」と題されている通り、さらなるリリースも期待され、CDには全8曲を、ヴァイナル・ヴァージョンにはさらに2曲を追加収録。
ジャズ・ファンのみならず全ての音楽ファンが刮目して聴くべき音楽史の秘宝というべきコンピレーションである。

<解説/インタビュー対訳の一部抜粋>
“Om Shanti”はエコーのかかった彼女の静かな歌声で物悲しくも力強く響く。アシュラムのシンガーたちが入っていき、タブラ、オルガンがビートを
刻み徐々にフェードしていく。“Keshava Murahara”は、トランス状態でゆっくりとした感じで歌われる。タフィーのように引き伸ばされ、オーバーハイムが
1970年代のプログレッシヴ・ロックのアルバムのように大音量でダイナミックに登場する。“Er Ra”はこのアルバムの中で一際目立つ楽曲で、ルバートに
よって緩い構造を持ったヴォーカルとハープのデュエットが、形においても効果においても最も稀で格別なものになっている。長らく話されていない
エジプト人の方言で歌われる歌詞(彼女はどうやってその発音を知り得たのだろうか ?)によって自らに歌いかけ、彼女の内部で起こるコール・アンド・
レスポンス - 無邪気な親密さと個人的な祈祷によってアリスの最も無防備な瞬間を捉えている。
【ライナーノーツ by アシュリー・カーン】より抜粋

スティーヴ・“フライング・ロータス”・エリソン
俺はスティーヴ・エリソン。またはフライング・ロータスという名でも知られているよ。アリス・コルトレーンは俺の叔母で、ある人はアリス・コルトレーン、
またある人はトゥリヤサンギータナンダとして知っているんだけど、俺にとってはおばちゃんって感じだね。アシュラムのことはある種の旅行みたいに
覚えてるんだ。わかるかな、マジカルな場所に行くみたいな感じさ。マジカルな日曜日にそこに行くんだ。そこに着くととても静かで、みんな白い服を着ていたよ。
小さい寺院があってみんなそこに入って行くと、小さい枕があってそこに座るんだ。周りにちょっと楽器があって、いろんな人種の人たちがいたよ。それを
見るのが本当に好きで、子供ながらに「あーみんな楽しそうだな」って思ったよ。みんなポジティヴな感じで入ってくるんだ。そこにいたら感じるはずさ。
「OK。ここは本当にスピリチュアルな場所だな」って感じになると思うよ。
【マーク“フロスティ”マクニールによる関係者へのインタビュー】より抜粋




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