2017.03.08 (Wed)
★アーリー・ジャズの名コルネット奏者、ピアニストであるビックス・バイダーベックの偉業を浮き彫りにした2枚組。
★ルイ・アームストロングと並んで1920年代に活躍したバイダーベックは、音色の美しさと独自のバラード・スタイルでその後のジャズ史の礎を築き、50年代のクール・ジャズに影響を与えました。
★本作は4人のヨーロピアンからなるユニット“エコーズ・オブ・スウィング”によるビックスへのトリビュート・アルバム。彼らはおよそ20年間にわたって、世界各国でライヴを行い、アーリー・ジャズの魅力を広める伝道師の役割を果たしてきました。
★ACTとの関係は2013年に始動したシリーズ“グッド・タイム・ジャズ”の第1弾アーティストの大役からスタート。その作品『Blue Pepper』はベース抜きの編成のアドバンテージを生かして、軽やかなサウンドを表現。昭和歌謡を理解した「青い山脈」でリスナーを驚かせてくれました。第2弾『Dancing』はラグタイム、チャールストン、スウィング・バンドのナンバーを取り上げて、彼らのミッションを遂行しています。
★このACT第3弾はビックスのレパートリーを選んでカヴァーしたソングブック、という単純な内容ではありません。トロンボーン、サックス、ベース、女性ヴォーカルを加えて、バンドをヴァージョン・アップした点に、彼らの意気込みがうかがえます。ビックスの有名なナンバーでは、シャノン・バーネット(tb,vo)の活躍のおかげで、モダンなテイストに仕上がったM-4、バンド・リーダー、フランキー・トランバウアー(c-melody sax)とビックスのコンビを連想させるM-11、特別ゲストのエミール・パリジャン(ss)が入って豪華な5管を編成したM-13と、ビックスのファンも満足させること請け合いです。メンバーのオリジナルを5曲入れたのも本作の特色。ビックスがトランバウアーを通じてドビュッシーに興味を持ったことを踏まえて、「子供の領分」を参照したM-7は、軽妙さと寛ぎの中に知性が滲み出ているカルテットのみのトラック。クリス・ホプキンス(as)とボサノヴァの名曲を繋げたM-12のアイディアも秀逸です。
★スウィング・ジャズを深く敬愛しながら、古さを感じさせずに今楽しめるサウンドを生み出すエコーズ・オブ・スウィング。CD2にはビックスのオリジナル音源を収めて価値を高めた、魅力的なパッケージになっています。(メーカーインフォメーション)
■Colin T. Dawson (tp, vo), Chris Hopkins (as), Bernd Lhotzky(p), Oliver Mewes(ds)